お役立ちコラム

「17歳になる前にHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種を受けた女性の子宮頚がん発生率が88%減少した」という研究結果

2021/12/27

今日は子宮頚がんワクチンについてご紹介します。
2020年にスウェーデンの研究機関が、「17歳になる前にHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種を受けた女性の子宮頚がん発生率が88%減少した」という研究結果を発表しました。

これは世界的にも大きなニュースでした。HPVワクチンの有効性のうち、本当にがんを減らすかどうかについては10年以上経過を見ないとわからないと言われていますが、ついにスウェーデンの国レベルの研究によってその有効性が立証されたのです。

しかし日本のメディアではあまり大きく取り上げられませんでした。

日本ではHPVワクチンについての報道が極端に少ないのは事実です。
日本でHPVワクチンの定期無料接種が始まったのは2013年4月でした。
当初は70%の接種率がありましたが、その後様々な症状の訴えがメディアで報道されたことにより、2か月後に厚生労働省が予防接種対象者への積極的な勧奨を差し控えるというスタンスを発表し、日本での接種率は大きく落ち込むことになりました。
当時は体調不良の原因がワクチンによるものなのかを調べるために安全性を検証することは大事なことでした。
しかし、その後、科学的な研究データがどんどん発表されて安全性の確認ができても全く政策に反映されなかったことは問題でした。
その結果、7年以上もの間、接種率は0.6%と、北欧やオーストラリアの90%、アメリカの60%など世界各国と比較すると飛び抜けて低い状況です。
そのせいか?私の周りでも子宮頚部異形成でがん保険に加入できない若い女性が増えています。
マスメディアで報道されなかったことで情報格差が健康格差になってしまうことは避けたいものです。

今回のコロナ禍にあっても日本がワクチン接種において世界に後れを取ったのは治験を含めワクチン行政に対する及び腰が背景にあると言われています。

海外においても反ワクチン運動はありますが、海外では国が科学的エビデンスを公開し、それに基づいて政策決定し毅然とした態度で反論し接種率も高い数値となっています。

日本特有ともいえる「何となく心配、何となく打たない」を解消し、きちんとした情報を知った上で選択する判断力が最も大事ことではないでしょうか。