お役立ちコラム

2022/08/11

8月11日は「インスタント・コーヒーの日」(1960年(昭和35年)8月11日 森永製菓がインスタント・コーヒーの発売を開始)でもあるそうです。
ということで、本日はコーヒーとがんの関係についてご紹介します。
国立がん研究センターが実施している多目的コホート研究*において、日本人男女約9万人を対象に、コーヒーを飲む頻度によって6つのグループに分け、その後のがん発生率を比較した結果、コーヒーと肝臓がんの関係では、コーヒーを「ほとんど飲まない」人と比べると、「ほとんど毎日飲む」人では肝臓がんの発生率が約2分の1に、「1日5杯以上飲む」人では約4分の1に低下していました。1日に飲むコーヒーの量が増えるほど肝臓がんの発生率は低下し、男女ともに同様の傾向がみられました。一方、コーヒーと子宮体がんの関係では、コーヒーを「ほとんど飲まない」人に比べ、「毎日1~2杯飲む」人では約4割、「毎日3杯以上飲む」人では約6割、子宮体がんの発生リスクが低下していました。国立がん研究センターの「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」において、多目的コホート研究を含めた国内の複数の研究結果に基づき、コーヒーの肝臓がんの発生リスクを下げる効果は「ほぼ確実」、子宮体がんの発生リスクを下げる効果は「可能性あり」と判定されていて、国際的な評価でも、肝臓がん及び子宮体がんに対するコーヒーの予防効果は「ほぼ確実」となっています。
*コホート研究…数万人以上の特定集団を対象に、まず生活習慣などの調査を行い、その後何年も継続的な追跡調査を行うもの
肝臓がんや子宮体がんは、糖尿病の人がかかりやすいがんであることがわかっていて、実は、コーヒーには糖尿病を予防する効果があるという研究結果が多数報告されており、糖尿病リスクを下げる(インスリン抵抗性を改善する)ことによって、肝臓がんや子宮体がんのリスクも下がる、とも考えられます。また、コーヒーに豊富に含まれるクロロゲン酸はポリフェノールの一種で、すぐれた抗酸化作用をもつほか、体内の炎症を抑える作用もあり、そのほか、抗炎症作用などがあるカフェインなどの成分も含んでいます。しかし、現時点では、まだ明確なメカニズムはわかっていないようです。
一方でコーヒーの飲みすぎによるカフェインの取り過ぎには注意も必要です。覚醒作用による不眠症、胃もたれ・肌荒れ、血圧上昇等の影響があります。コーヒーは適度に美味しくいただきましょう。