お役立ちコラム

『「がん患者本位のエンゲージメント」を目指して ~がん患者が社会で自分らしく生きるための3つのビジョン~』という本のご紹介

2022/01/11

今日は、『「がん患者本位のエンゲージメント」を目指して ~がん患者が社会で自分らしく生きるための3つのビジョン~』という本をご紹介します。

この本は、アフラックが事務局を務め、これからのがん医療やがん患者が抱える課題や生き方などについて議論してきた「 『がん患者本位のエンゲージメント』を考える会」の副座長を務めたがん研究会有明病院名誉院長の山口俊睛さんが最終報告書(書籍)になります。

「がん患者本位のエンゲージメントを考える会」が設立された背景
・がんが もはや不治の病ではなくなり、患者は根治した後にも様々な問題を抱えつつ、がんサバイバー(がん経験者)として長い人生を歩まなくてはならない時代になった。
・がん患者やがんサバイバーに対し、社会全体としてどんな関与の仕方ができるかという課題
・これからのあるべきがん医療
・がん患者とその家族が抱える課題や生き方
・がん情報の活用法

これらを、議論し、最終的に「がん患者本位のエンゲージメント」を確立・普及させるために、
・がんに関わる各プレーヤーが今後、何を目指すべきか
・その道筋はどのようにあるべきか
について、大きく3つのビジョンとしてまとめ、合計 10個の具体的なアクションを示したものが最終報告書(本書籍)とのことです。

そして、3つのビジョンについて以下のように簡単に説明されています。

ビジョン1「社会全体でがん患者を生涯にわたって支える」
がんの治療が終わり根治が得られたのち、がんサバイバーの人生にどのような問題が生じ、それがどのような仕組みで解決されようとしているのか、医療者は関心がまだ薄い状況で、これを改革する必要があること。

ビジョン 2「一人ひとりが安心して納得できる医療/ケアを受けられる」
がんの医療やケアを単に受けるのではなく、各自の状況を正確に理解し、納得した上で安心できるがん医療の提供を受けることを目指すべきであるということ。

ビジョン 3「がん患者が主役 となって自分らしく生きるための素養とスキルを身に付ける」
これは、社会や医療者だけに努力を求めるのではなく、がん患者自身が能動的にがんに関わる情報や知識を獲得する必要があるということ。

山口さんは、この報告書(書籍)を、患者や医療者だけではなく、政治家、行政、企業など、様々な立場の人に読んでもらいたいと語られています。
私も、読んでみたいと思います。

ちなみに、エンゲージメント(engagement)とは、
「婚約」「誓約」「約束」「契約」などの意味を持つ英単語で、「深いつながりをもった関係性」を示す言葉だそうです。
ビジネスにおいて、エンゲージメントという言葉は「職場(企業・団体)と従業員の関係性」や「自社と顧客との関係性」を表す際に用いられるみたいです。

ビジョン1
社会全体でがん患者を生涯にわたって支える
ビジョン2
一人ひとりが安心して納得できる医療/ケアを受けられる
ビジョン3
がん患者が主役となって自分らしく生きるための素養とスキルを身に付ける
1. さまざまな関係者による相談機会や情報の積極的な提供

2. がん患者の状況や悩みに応じた「開かれた相談の場」の提供

3. がん患者への就労支援と経済的支援制度の周知

4. さまざまな医療者によるがん患者本位のコミュニケーションの実現

5. 病院内におけるチーム医療の普及と定着

6. 地域における終末期を含めた総合的なケアの提供

7. 一人ひとりに合わせたがん医療の普及と周知

8. 医療/ケアを受ける時の基本的な素養の習得

9. 正しい医学情報を提供する仕組みと場の整備

10. がん教育の普及と充実