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抗老化研究 臓器や組織の中に蓄積して老化を加速させる「老化細胞」を取り除く薬なども研究

2022/03/03

本日は「抗老化研究」についてご紹介いたします。

女性は87.74歳、男性は81.64歳──。厚生労働省が2021年7月に発表した簡易生命表によれば、2020年の日本人の平均寿命は過去最高を更新しました。
WHO(世界保健機関)の統計では、日本人女性の平均寿命は36年連続の世界1位、男性はスイスに次いで世界2位で、先進国の中でも最も早く超高齢社会に突入しています。
そんな中、注目を集めているのが抗老化研究です。

日本の100歳以上の高齢者は2020年9月1日時点で8万450人、初めて8万人を超えました。
調査が始まった1963年には100歳以上の人は全国にたった163人だったというから、57年間で約500倍に増えたことになります。
人生100年時代が近づいているとともに「日本の高齢者は若返っている」という事実があります。
例えば「高齢者の歩行速度の推移」で、2017年の85歳以上の平均歩行速度は、男性は1992年の75~79歳レベル、女性は65~69歳レベルになっています。
つまり、この25年間で、男性は約10歳、女性は約20歳、体力的に若返っていると見ることができます。

ただ、「人生100年時代」には大きな課題があり、健康上の理由で日常生活が制限されることがない期間を示す「健康寿命」は、2016年時点で女性74.79歳、男性72.14歳で、「平均寿命」との差がそれぞれ12.35年、8.84年もあることです。
男女とも平均で10年前後、介護が必要な状態を含めて日常生活に制限がある状態になっていることになります。
老化研究が注目されている理由の1つは、その成果によって健康寿命を延ばす可能性があるからです。
がんのように命に関わる病気を治すことだけではなく、年を取って疲れやすい、臓器や認知機能が全体的に低下しているという老化自体を制御する必要があります。
身体機能、認知機能が落ちて、要介護状態になる一歩手前の状態で介入すれば、健康で自立した状態に戻せる可能性があります。
そのため、厚生労働省は、2020年度から各市区町村で75歳以上を対象に、早期発見と介護予防を目指す健診をスタートさせています。
より有効性の高い老化制御の確立でカギを握るのが老化研究の進展であり、臓器や組織の中に蓄積して老化を加速させる「老化細胞」を取り除く薬なども研究されているそうです。
年を取っても、たとえ認知機能が落ちても、今が一番幸せと思える幸福長寿が実現できたらいいなと思います。