お役立ちコラム
ぼうこうがんの約90%を占める尿路上皮がんの新しい治療法
本日は、ぼうこうがんの約90%を占める尿路上皮がんの新しい治療法についてです。
転移性の尿路上皮がんの5年生存率は5%程度と低く、これまでは複数の抗がん剤を組み合わせる化学療法が主に利用されてきました。
従来の化学療法では、治療初期の薬剤の効き目は高いにも関わらず、長期的に薬剤を服用することで効き目が下がってきてしまい、化学療法で腫瘍が完全に消失することは稀となっています。多くの場合は治療開始から9か月以内にがんが進行してしまいます。治療初期の高い効き目が継続する期間を引き延ばすための維持療法として、免疫治療薬「バベンチオ」(一般名はアベルマブ)を使う新たな治療方法が登場しました。転移性尿路上皮がんの患者のうち約1か月間の化学療法で腫瘍が縮小あるいは大きくならなかった700名を対象に行われた治験の結果、バベンチオを投与したグループと投与しなかったグループで死亡までの期間に7か月の差が出たそうです。バベンチオを使用することでがんの進行を妨げて5年生存率を上げることができるようになるかもしれません。バベンチオを使用する利点としては、生活の質を落とさずに治療が続けられるということがあります。
最初の化学療法の効き目が落ちてくると、副作用が強く、死亡例もある免疫治療薬「キイトルーダ」(一般名はペムブロリズマブ)を利用しなければならなくなります。
キイトルリーダの利用をできる限りしないで済むように効き目を引き延ばす維持療法が行われるようになると、生存期間を延ばせるだけでなく患者さんの身体への負担も減ることが考えられます。このような「治癒」という視点だけではなく「患者さんの負担軽減」という視点からも改良された治療法が出てくることはすばらしいことだなと思いました。