お役立ちコラム

産業革命前のがん罹患率 たばこ 工場の排気ガス お酒 気を付けたいですね

2023/06/25

ご機嫌いかがでしょうか。本日は、産業革命前のがん罹患率についてお話させていただきます。
現代社会では、英国国民の半数以上が人生のある時点でがんに罹患すると言われています。一方、考古学的な証拠から、産業革命以前には、英国国民のがん罹患率はわずか1%程度だったとされてきました。だが、現代のがん検査ツールを使い、数百年前に埋葬された遺骨を分析した結果、産業革命以前の英国国民のがん罹患率は、これまでの推測より少なくとも10倍以上高かった可能性が明らかになりました。
工業化以前の英国には発がん性物質が存在しました。人々がアルコールを日常的に摂取し、薪や石炭を燃やすことで発生する汚染物質にさらされるというリスクがありました。また、加齢によって細胞の異常が生じる可能性もありました。しかしながら、がんの発生率が著しく上昇したのは、16世紀にイギリスに入ってきたタバコや18世紀以降の産業活動によって生じる空気汚染などの発がん性物質が、人々の日常生活に含まれてからのことです。これまでの研究では、主に遺骨の視覚的評価に基づいて産業革命以前のがん発生率を推定していました。つまり、特定のがん病変の広がりを示す病的な異常がない限り、がん罹患者と非罹患者の区別がつきにくかったのです。

掘り出された古代の遺骨から、それらに発病していたかもしれないがんを検出するため、現代医療で用いられるCTスキャナーやX線装置を用い、成人143体の骨を分析しました。その結果、143人のうち5人の骨にがんが見つかりましたが、その数値は故人が患っていた可能性のあるがんを完全に検出できた数値ではないと推測されます。さらに、現代の医療で骨がんが検出される確率は約75パーセント程度ですが、中世の遺骨に適用してみると、産業革命の前の英国人が生涯でかかるがんに罹患する確率は9~14%程度と推定されます。これは、従来の推定値の約10倍にあたります。 この研究が現代医学に対して与える影響として、タバコや工場の排気や自動車の排ガスといった発がん性物質が現在の私たちに及ぼす影響を科学者たちはよく知っています。

過去の人々の生活環境が現代とは異なるため、現代医療が適用される前の状態についても見直す必要があるかもしれませんが、がんという病気が発がん性物質との関りがあるということを示していると思います。

私たちも意識して、生活する必要があるかもしれませんね。