お役立ちコラム
人工知能を活用した「電子の鼻」でがんの有無を判別するという新たながん検出の手法について
本日は、人工知能を活用した「電子の鼻」でがんの有無を判別するという新たながん検出の手法についてご紹介します。
細胞から放出される揮発性物質の臭いに基づいて、正常な細胞とがん細胞の違いを区別することができることが知られています。
この臭いの原因となる物質は「揮発性有機化合物(VOC)」と呼ばれており、VOCを分析し検出できるようにAIと機械学習を利用して「電子の鼻」が作られました。
VOCの特定に用いられている「電子の鼻」の技術はヒトの嗅覚系が機能する仕組みと似ており、複雑に混ざった化合物の組成を特定して異なった臭いを区別して認識することができるそうです。
この「電子の鼻」を使った研究では、卵巣がんやすい臓がん、前立腺がんの検体を90%から95%の精度で判別することができました。
研究チームは、卵巣がんの患者20人と、非がん性の卵巣腫瘍の患者20人、そして腫瘍が全くない被験者20人から検体を採取した。
検証の結果、「電子の鼻」は95%の精度で卵巣がんの検体を判別できることがわかったそうです。
さらに、同じツールを用いて、すい臓がんの検体と対照群の検体についても同様の実験を行ったところ、90%の精度で判別が可能だった。
また、少数の前立腺がんの検体を用いて、最近行われた別の実験でも、同様の結果が導き出されたそうです。
さらに、「電子の鼻」を用いた手法では進行した腫瘍だけでなくごく初期の腫瘍も特定できたため、がんの早期発見も可能と考えられています。
「早期のがんをどの程度検出できるのか」や
「特定の部位のがんが他の部位にまで転移してしまった場合に区別がつくのか」
といった具体的な能力についてのさらなる研究が期待されています。
研究が進みこの手法が実際に使用できるようになれば、毎年の健康診断での通常の採血時にがん検診を組み込むことができるようになる可能性があります。
毎年の健康診断と同時にがん検診ができるようになればがん検診へのハードルが下がり、受診率の増加が見込めるかもしれません。
「電子の鼻」を使ったがん検出方法の研究が進むことに期待をしたいと思います。