お役立ちコラム
「オプジーボ」をはじめとしたがん免疫治療薬が効きやすい患者を事前に予測する研究が進んでいます。
本日は『「オプジーボ」をはじめとしたがん免疫治療薬が効きやすい患者を事前に予測する研究が進んでいる』という情報をご紹介します。
皆さまもご存じのとおり、がん免疫治療薬は、異物を排除する「免疫」という機能を活用した薬です。
がん細胞を主に攻撃するのは、「T細胞」と呼ばれる免疫細胞ですが、がん細胞は「T細胞」にブレーキをかけて攻撃を免れます。
がん免疫治療薬は、このブレーキを解除する働きがあり、免疫ががん細胞を攻撃するのを助けます。
従来の抗がん剤が効かない患者の一部にも高い効果があり、皮膚がん(悪性黒色腫)や、肺がん、胃がんなどの治療にも使われていますが、効果があるのは患者の2~3割です。
治療をされている方の中には重い副作用が表れる人もいます。
今回国立がん研究センターなどのチームは、がん免疫治療薬の効果がある人を高精度で予測できる指標を見つけたと発表しました。
16~19年にがん免疫治療薬を投与されたがん患者87人のがん組織を調べましたところ、「T細胞」のうち、異物を攻撃する「キラーT細胞」と、攻撃を抑える「制御性T細胞」のそれぞれのPD―1と呼ばれる分子の割合が鍵を握ることが分かりました。
PD―1がキラーT細胞に多く、制御性T細胞に少なければ薬が効くものの、PD―1がキラーT細胞に少なく、制御性T細胞に多いと効きませんでした。
この指標を基に、薬が効く患者をみると1000日過ぎても進行しない人がいましたが、効かない人は100日までに全員の病状が悪化したのです。
早い時期に薬の効く人、効かない人を見極められれば、過剰な投与や懸念される副作用を避け、別の治療法に切り替えられます。
がん免疫治療薬は、医療財政を圧迫するとして議論を呼んでいます。
公的医療保険で認められたオプジーボの薬価は当初、患者1人あたり年3500万円とされました。
国はその後、年1000万円程度に引き下げたものの、一般的な抗がん剤よりも高額です。
効かない人への投与が減少されれば国の医療費の軽減につながることも期待されているそうです。
がん治療は遺伝子検査なども始まっており、治療開始前からどの薬が効果的かが分かれば、無駄な治療がなくなり、患者が病状が早期に良くなればいいですね。