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「第5のがん治療法」と期待される光免疫療法 2021年9月保険適用 2022年4月世界初の研究所が日本に!
「第5のがん治療法」と期待される光免疫療法の研究が日本で本格化するようです。
大阪府枚方市にあります関西医科大学が2022年4月、この分野で世界初の研究所を設立します。
すでに国内で治療に適用されている顔や首のがんに加え、乳がんなどに適用することをめざしており、がん細胞に結びつく特殊な薬剤を患者に投与し薬剤ががん周辺に集まると近赤外線のレーザー光を当て、細胞を破壊する流れです。光免疫療法は以前からもメディアで取り上げておりますが、手術、放射線、抗がん剤、免疫薬に続く治療法と目されています。
12年に当時のオバマ米大統領が一般教書演説でこの治療法に言及し注目を集め、関西医科大はこれを考案した米国立衛生研究所(NIH)の小林久隆主任研究員を、新設する「光免疫医学研究所」の所長に迎え、30人体制で発足させるそうです。
今年の9月から保険適用になり700万円の治療が3割負担で受けれるようになったようです。しかし、現在の保険適用は【切除不能な局所進行または局所再発の「頭頸部がん」で、他に治療法がない場合のみ】となっており、限定的です。その他は、食道がんや胃がんなどに臨床治験に入っているようです。
光免疫療法の最大のメリットは、既存の治療法に比べて、副作用が少ない点です。
近赤外光は、テレビのリモコンの信号などにも使用される目に見えない光で、人体には無害。また、抗体を利用した抗体療法は分子標的薬ですでに使われていますが、抗がん剤に比べて副作用が少ないとはいえ、がんの増殖を抑える目的の量を投与すれば副作用も生じます。
一方、光免疫療法は、光によってポイントをさらに絞り込んで治療するため、抗体療法に比べると、少ない投与量で済むと言います。
治療自体も、1日目に2時間以上かけて薬剤を点滴で投与。2日目にレーザ光を数分間、照射する二段階で行われますが、数時間で終了します(その後、1週間程度入院)。
副作用として、出血や部位の周辺の浮腫と痛み、薬剤投与直後のアレルギー反応のほか、光過敏症の傾向が出るため、薬剤投与後、4週間は直射日光を避けるなどが挙げられています。
とはいえ、何か月にもわたる抗がん剤治療の副作用に苦しんだり、毎日、放射線治療を受けるため通院したりといった、これまでの身体的・物理的負担と比べると雲泥の差でしょう。
投与する薬剤アキャルックス®点滴静注と、光を照射する医療機器のBioBlade?レーザシステムを用いるこの光免疫療法は、「イルミノックス治療」とも呼ばれ、すでに2021年1月から、愛知県がんセンター病院、国立がん研究センター東病院、東京医科大学病院の3施設で治療が始まり、実施病院が順次拡がっています。
光免疫療法の1回の治療にかかる医療費は、薬剤費、装置代、手術費などを含め約700万円程度と高額です(4週間以上あけて、最大4回まで行うことがある)。
しかし、保険適用が承認されたため、公的医療保険や高額療養費制度の適用が受けられることになり、患者さんの自己負担は軽減できます。
また、自由診療ではありますが、光免疫療法を独自で取り入れている病院もあります。これらは、学会はおすすめしていないようですが、部位や状態の条件は広そうです。
がん治療も、 様々な有効な治療が出てきてますので、それに対応できるがん保険の準備が必要だと思います。
https://www.kmu.ac.jp/research/pit/commentary/index.html