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直腸と結腸からなる大腸のがんは、日本人に最も多いがんです。S状結腸と直腸は大腸の肛門側の末端部分

2021/12/03

本日は大腸がん治療の進歩についてお伝えします。

直腸と結腸からなる大腸のがんは、日本人に最も多いがんです。
1年間に大腸がんで亡くなる人の数は、日本が米国を上回っており、早期発見の遅れが問題です。
日本人の大腸がんの約7割がS状結腸と直腸に発生しています。
S状結腸と直腸は大腸の肛門側の末端部分です。

直腸がんを治療するうえで重要なのは、肛門との距離といわれます。

結腸がんの手術では、がんから上下10センチのところで腸を切り離し、つなぎ合わせます。
しかし、直腸がんが肛門の近くにできた場合、上側を切り離せても、すぐ下が肛門なので、下側ののりしろが足りません。そのため、肛門を含めてがんを切り取る必要が出てきます。この時には人工肛門を付けることになります。

ですが、自分の意志で排便できなくなると、生活の質にも大きな影響を及ぼすので、肛門を温存する治療法も開発されています。
自動吻合など、手術技術の進歩によって、肛門のすぐ近くにできたがんでも、早期であれば肛門括約筋の一部を残すことで排便機能を保つことが可能となってきました。
東大病院では、肛門に近い進行直腸がんに対して、手術に先立って術前の放射線照射を行っています。
手術が困難なほど進行した直腸がんが切除可能となることがあるほか、がん病巣が縮小することで、肛門側ののりしろが増え、人工肛門が回避できるチャンスが広がります。
がん治療は日々進化しているんですね。